保肥性
別名・表記:nutrient retention
肥料成分を土が保持し、植物の根へ供給する性質です。
保肥性とは、土が肥料成分(特に窒素のアンモニウム、カリ、カルシウム、マグネシウムなどの陽イオン)を粒子の表面に吸着して保持し、根が必要とするときに供給できる性質です。土壌学では陽イオン交換容量(CEC)という数値で表され、粘土や腐植が多い土ほど高く、砂や軽石だけの土ではとても低くなります。保肥性が低い土では、せっかく施した肥料が水やりや雨で溶脱しやすく、逆に高すぎる土では追肥が蓄積して過剰になりやすい、という両面があります。
保肥性を左右する要素
| 要素 | 保肥性への影響 |
|---|---|
| 粘土の含有量 | 多いほど高いが、多すぎると排水性が落ちる |
| 腐植(堆肥・腐葉土の分解物) | 高める。同時に団粒化で通気も改善 |
| 砂・パーライト・軽石 | ほぼ保持しない。排水性のために配合 |
| バーミキュライト・ゼオライト | 鉱物自体が高いCECをもつ改良材 |
| 土のpH | 極端な酸性では保持力が下がる |
家庭園芸での実践
- 鉢用の培養土にピートモスやココピート、バーミキュライトが入っているのは、保水性と保肥性を補うためです。
- 砂質の花壇では、毎年堆肥や腐葉土を2〜3割混ぜ続けることで少しずつ保肥性が上がります。
- 保肥性の低い用土では、少量の追肥を回数多く与える方が無駄が出ません。
- 元肥入り培養土を使ったら、しばらく追肥を控えます。保肥性の高い土では蓄積した肥料が根を傷めます。
よくある誤解
保肥性と保水性は別の性質です。水をよく保つ土が必ずしも肥料を保つわけではなく、逆に水はけが良くても腐植が多ければ保肥性は確保できます。また、保肥性は「土そのもの」の性質なので、肥料の種類を変えても直接は上がりません。土壌改良で土を育て、肥料はその上で調整する、という順番で考えます。