花の日記

ハダニの見分け方と対策|葉裏のかすり傷に要注意

花につくハダニの見分け方を、葉の白いかすり傷、葉裏の微小な個体、糸の有無から解説。水洗い・被害葉の整理・殺ダニ剤・天敵を発生段階で使い分けます。

執筆:花の日記 編集部 公開 更新
花の葉裏に付いたハダニと葉表の白いかすり状被害を確認する様子

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ハダニ対策は、葉表の白い点を見つけたら葉裏を確認し、少数なら水で洗い流し、増加が続く場合だけ登録薬剤へ進むのが基本です。白いかすり傷は元に戻らないため、対策後は新しい白点や動く個体が増えていないかで判断します。

ハダニとは|0.5mmほどのクモに近い害虫

ナミハダニは花や野菜でよく問題になる代表で、ハダニは昆虫ではなくクモに近い節足動物です。成虫は脚が8本あり、多くは0.5mm程度と小さいため、葉色の変化が先に見つかります。カンザワハダニなど種類や発育段階によって体色は違うので、「赤い点だけがハダニ」と色だけで決めないことが大切です。

GardenStoryの解説には「ハダニは日本に70種類ほどいるクモの仲間です。」とあり、主に卵で越冬するものの、環境によっては成虫も越冬すると説明されています。

ハダニは葉裏で口器を使い、葉の細胞内容物を吸います。吸われた部分は光合成に必要な葉緑素が抜け、葉表から細かな白点として見えます。点が増えるとかすり状に白くなり、さらに被害が進むと葉色が悪くなって生育が鈍ります。一年草観葉植物、野菜では落葉し、株が枯れる場合もあるため、花が咲いていても葉の異変を放置できません。

似た症状でも、アブラムシは新芽の群落や甘露によるべたつき、カイガラムシは茎や葉脈に固着した殻状の姿が手掛かりです。ハダニは葉裏の動く点と葉表の白い吸汁痕を組み合わせて見ます。

葉裏のハダニを見分ける4つのサイン

葉のかすり状被害は、細かな白点が重なって葉がかすれたように見える症状です。ハダニでは葉表に傷が見えても、確認する場所は葉裏です。アブラムシのべたつき、うどんこ病の拭える白い粉、葉焼けや栄養不足による変色とは現れ方が違うため、被害痕だけでなく虫・卵・糸の有無まで見ます。

見分けるときは、次の順で確認します。

  1. 葉表の白点 — 針先のような点が散らばり、次第に白いかすり状へつながっていないかを見ます。
  2. 葉裏の動く点 — 白い紙を葉の下へ置き、葉を軽くたたきます。落ちた点がゆっくり動けば、ルーペ (Rakuten / Amazon / Yahoo!)で確認します。
  3. 卵・脱皮殻・細い糸 — 葉脈の際や葉柄の付け根を見ます。球形で半透明の卵や細い糸は、発生を裏付ける材料です。
  4. 黄化・落葉 — 白点の範囲が広がり、葉が黄褐色になって落ちるなら、少数発生を越えている可能性があります。

UC Statewide IPM Program資料では、成虫は1/20インチ未満で、肉眼では動く点のように見え、10倍ルーペなら確認しやすいとされています。葉裏の一つのコロニーに数百匹が含まれる場合もあり、密度が高いと葉・小枝・果実まで糸が覆います。日本農業新聞も、体長は0.5mmほどで、高密度時には葉縁が吐糸で覆われクモの巣状になると伝えています。

サイン見る場所意味最初の対応
細かな白点葉表吸汁された細胞の跡葉裏を確認する
動く微小な点葉裏・白い紙ハダニ本体の可能性疑わしい鉢を離す
卵・脱皮殻・細い糸葉脈際・葉柄繁殖中または高密度化葉裏まで水で洗う
黄化・落葉・密な網株全体被害が進行被害葉整理と登録薬剤を検討

白い粉が広がり、虫や糸が見当たらない場合は、うどんこ病の原因と対策を確認します。白い葉を一律に扱わず、葉裏で原因を確かめてください。

なぜ花に発生する?高温・乾燥・水切れ

鉢植えは雨が当たらない軒下やベランダガーデンに置かれやすく、水やりが遅れて株が水分ストレスを受けると、ハダニ被害が深刻になりやすい環境が重なります。コンテナ栽培では植木鉢の土量が限られて乾きやすいため、葉だけでなく鉢土の状態も確認します。ハダニは高温・乾燥を好み、日本の家庭園芸では雨明けから秋に活動が活発になります。雨に当たる場所では数が減りやすい一方、軒下や室内の窓辺では自然の洗い流しが期待できません。

乾燥だけを見て、鉢土を常に湿らせるのは別の失敗につながります。根腐れを避けるため、土は植物に合った間隔で水やりしつつ、蒸散で失われる水分と葉裏への散水を分けて考えます。葉水とは葉へ霧や水流を当て、葉面濡れを一時的に作る管理です。ハダニを落とす目的なら、葉表を軽く濡らすだけではなく、株を傷めない強さで葉裏へ水を届かせます。

発生を確認した直後のハダニ対策

ハダニ対策の初動は、疑わしい鉢を離し、葉裏を水で洗い、傷みの大きい葉を整理して、隣接株まで確認することです。まだ一部の葉だけにいる段階なら、薬剤を急いで全鉢へ散布するより、発生源を小さくして経過を見るほうが花と周辺の生物への負担を抑えられます。

鉢植えは隣の株から離します。花壇では被害株の周囲まで葉裏を点検します。白い紙で動く点を確認したら、土が流れないようにじょうろやホース (Rakuten / Amazon / Yahoo!)で葉裏へ水を当てます。

白化や糸が広がった葉を整理します。切り戻しで一度に大量の葉を取ると株が弱る場合があるため、少しずつ取り除いて周辺へ放置せず処分します。

flowchart TD
    A["葉表に白い点を発見"] --> B["葉裏と白い紙で確認"]
    B --> C{"動く点・卵・糸があるか"}
    C -->|"見つからない"| D["病気・栄養・日焼けも確認"]
    C -->|"少数"| E["鉢を離す・葉裏を洗う・被害葉を整理"]
    C -->|"複数葉で増加"| F["対象植物に登録のある薬剤を検討"]
    E --> G["新しい白点と葉裏を再点検"]
    F --> G
    G --> H{"増加が止まったか"}
    H -->|"止まった"| I["水管理と定期観察を続ける"]
    H -->|"続く"| J["作用系統と散布範囲を見直す"]

白点を見つけた後は、原因確認・発生量・再点検の順で対策を選びます。

ハダニ以外も含めた確認順は、親記事の花の病害虫対策完全ガイドで整理しています。症状ごとに「観察→原因判定→最小限の処置」と進める考え方は、家庭の花で共通します。

殺ダニ剤を使うときの注意

殺ダニ剤を使う前に、農薬ラベルで対象植物とハダニ類への適用を確認し、一般的な殺虫剤と同じものだと決めつけないでください。製品ごとに効きやすい発育段階、希釈方法、使用時期、使用回数が違います。ラベルにない植物や方法へ自己判断で広げず、記載どおりに扱います。

ハダニは葉裏にいるため、株の内側や葉脈際まで薬液を届けます。傷んだ葉を先に整理し、周囲への飛散を避け、高温時や水切れ時の油剤・石けん剤については製品の注意事項を確認してください。

薬剤が効きにくいと感じても、同じ製品を短い間隔で繰り返すのは適切ではありません。日本農業新聞は、感受性低下への対応として「同一系統薬剤の連用を避け、ローテーション散布を心がける」としています。薬剤抵抗性とは、同じ作用系統の薬剤が繰り返されるなかで、効きにくい個体群が残る現象です。商品名だけでなく作用系統を確認し、使用回数を守ります。

もう一つの落とし穴は、別の害虫対策で使った広範囲の薬剤です。UC IPMは、一部の有機リン系やピレスロイド系の殺虫剤を使った後にハダニが問題化することがあると説明しています。天敵を減らす影響や、植物の栄養状態を変えて葉の窒素量を高める影響が挙げられており、「強い殺虫剤を全体にまけば予防になる」とは限りません。

園芸用マシン油や石けん系資材も、適用植物と使用条件を確認します。接触型資材は葉裏への被覆が不足すると効果が安定しないため、洗浄と周辺株の点検も続けます。

天敵と予防を組み合わせて再発を抑える

カブリダニはハダニを捕食する天敵で、天敵を利用して害虫密度を抑える方法を生物的防除と呼びます。家庭園芸では自然にいる天敵を不用意な広域散布で減らさないことが基本です。施設や一定条件の栽培では、チリカブリダニなどの天敵製剤 (Rakuten / Amazon / Yahoo!)も選択肢になります。

NC State Extensionチリカブリダニ解説では、成体は約0.5mmで、卵から成体まで最短5日とされています。低倍率の4〜10倍ルーペを使うと見つけやすく、60°F以上・相対湿度60〜90%でナミハダニの捕食者として働く資料があります。ハダニと同じほど小さいため、赤橙色で動きが速いこと、餌となるハダニがいることを合わせて見ます。

チリカブリダニはハダニに特化し、継続的な産卵には餌が必要です。相対湿度が60%を下回ると卵の孵化成功が低下するという資料もあるため、乾燥の強い屋外では条件が合わない場合があります。使用時は対象作物、放飼条件、薬剤との相性を確認します。

予防では葉が重ならない間隔を取り、枯れ葉を残さず、水切れを避けます。雨明けから秋は葉裏も点検し、卵や成虫が越冬し得る室内や軒下では季節だけで観察をやめません。

3つだけ覚えるハダニ対策の判断基準

総合的病害虫管理は、観察、栽培環境の改善、物理的防除、生物的防除、薬剤を必要な範囲で組み合わせる考え方です。これは病害虫対策を薬剤散布だけに限定しない枠組みです。ハダニ対策で迷ったら、方法の数を増やすより「見分ける・発生量で選ぶ・再点検する」の3つへ戻ります。

  1. 白点を見たら葉裏を確認します。 白点は過去の吸汁痕です。白い紙、ルーペ、卵、脱皮殻、糸を組み合わせ、虫がいるかを確かめます。
  2. 少数なら物理的に減らします。 疑わしい鉢を離し、葉裏を水で洗い、被害の大きい葉だけを整理します。複数の葉で増加が続く場合に、登録のある薬剤 (Rakuten / Amazon / Yahoo!)へ進みます。
  3. 古い傷ではなく新しい被害を見ます。 白点は消えないため、新葉に点が増えるか、白い紙に動く点が落ちるかで対策の成否を判断します。

出典

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花の日記 編集部

園芸学・植物学の資料、種苗メーカーや公的機関の栽培情報、農薬登録情報を突き合わせ、出典をたどれる形に再編集する花とガーデニングの編集チームです。編集方針を見る