花の日記

アザミウマ(スリップス)対策|花びらの変色・かすれは要注意

花びらの白いかすれや褐変からアザミウマを見分け、白い紙での確認、花がら処分、薬剤の選び方、再発予防まで解説します。

執筆:花の日記 編集部 公開 更新
バラの花びらに生じたアザミウマによる白いかすれと褐色の変色を確認する様子

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アザミウマ対策は、花びらの白いかすれや茶色い縁を見つけたら、まず花を白い紙の上で軽くたたき、アザミウマ(スリップス)が落ちるか確かめることから始まります。発生鉢を離し、傷んだ花と花がらを処分したうえで、対象植物とアザミウマ類に登録のある薬剤 (Amazon / Yahoo!)をラベルどおりに使います。古い傷は戻らないため、次に開く花で新しい被害が増えるかを再点検することが大切です。

アザミウマとは|花やつぼみに隠れる1〜2mmの害虫

アザミウマは、花芽やつぼみ、花弁、新芽、葉などの柔らかい組織を傷つけながら汁液を吸う昆虫群です。吸汁とは、植物の表面を傷つけ、内部の汁液を取り込む加害方法を指します。体が細く、花弁の重なりや葉の付け根へ入り込むため、虫体より先に変色へ気づくことがあります。

家庭園芸で問題になる種類はおおむね0.8〜2.0mmで、肉眼では細い虫に見えても種類の判別は困難です。活動期は4〜10月、生育サイクルは2〜7週間とされ、温室条件では68〜98°Fで一世代が7〜14日になる資料もあります。

卵は植物組織内、幼虫は植物上、種類によって蛹は土や落葉内で過ごします。温室資料では雌成虫が約30〜45日生き、150〜300卵を産むため、見える成虫を除くだけでなく再点検が必要です。

花びらの変色・かすれを見分ける5つのサイン

バラでは、白いかすれやシミ、縁の褐変、開花不良、早い花終わりが手掛かりです。KINCHO園芸によると、つぼみが開き始めると花弁の隙間から入り込むため、内側も確認します。古い吸汁痕は虫を減らしても戻らないので、次に開く花で新しい傷の有無を見ます。

見るサイン見る場所アザミウマを疑う理由最初の確認
白いかすれ・退色花弁の表裏と重なり傷ついた細胞の色が抜ける白い紙の上で花を軽くたたく
茶色いシミ・縁枯れ花弁の縁、吸汁部被害が進むと褐変が広がる新旧の花で傷の増加を比べる
小さな黒い点花弁、展開葉排泄物が点状に残る場合があるルーペで虫体と併せて見る
開花不良・奇形つぼみ、新芽展開前の組織が傷ついているつぼみの内側を確認する
細長い虫が落ちる白い紙の上花内の成虫・幼虫を直接確認できる袋に採り、必要なら専門機関へ相談する

表:花びらの症状を「見る場所」と「次の確認」に結び付けた早見表です。

虫体は花を白い紙の上で数回たたき、必要なら袋へ落として20倍以上のルーペ (Rakuten / Amazon / Yahoo!)で確認します。成虫は青色へ誘引されるためカラー粘着板も使えますが、分かるのは主に飛ぶ成虫の増減で、花内の幼虫や土中の蛹の不在までは証明できません。

バラでは5月中旬〜9月中旬が発生しやすい時期として整理されています。ただし、カレンダーだけで判断すると初期発生を逃します。気温、鉢の置き場、周辺の雑草、購入した苗の持ち込みによって状況は変わるため、咲き始めの花を定期的に見る方が確実です。

ハダニ・アブラムシ・灰色かび病との違い

ハダニアブラムシ灰色かび病は変色の場所と原因が異なります。タキイ種苗などの情報を見るときも、薬剤名より先に虫体、糸、カビ、被害部位を照合します。

ハダニは葉裏に集まり、葉表に白点やかすり状の退色を出し、密度が高いと細い糸が見えることがあります。花弁から細長い虫が落ち、花にシミや開花不良が出るならアザミウマを疑います。葉裏の白点が中心なら、ハダニの見分け方と対策を確認してください。

アブラムシは新芽や茎へ群れ、丸い体と甘露によるべたつきが目印です。新芽に集団があれば、アブラムシの駆除と予防の初動が合います。一方、灰色かび病は花弁が水っぽく腐り、灰色のかびが現れます。虫を確認しても判別できなければ、症状のある花を袋へ入れて園芸店などへ相談します。

見つけた直後のアザミウマ対策

確認直後は発生鉢を離し、花がら摘みで傷んだ花と咲き終わった花を袋へ入れて処分し、同じ棚や風下の鉢も点検します。土壌水分を増やして追い出そうとせず、通常の水やりを保ちます。摘んだ花を鉢上やコンポストの横へ置くと移動の機会を残すため、栽培場所から離してください。

flowchart TD
  A[花びらの白いかすれや褐変を発見] --> B[白い紙の上で花を軽くたたく]
  B --> C{細長い虫が落ちたか}
  C -->|落ちた| D[発生鉢を隔離し花がらを処分]
  C -->|落ちない| E[葉裏やカビの有無も確認]
  D --> F[周辺鉢とつぼみを点検]
  F --> G{新しい被害が増えるか}
  G -->|増える| H[登録薬剤をラベルどおり使用]
  G -->|増えない| I[観察を継続]

図:花びらの傷を見つけてから、虫の確認、隔離、再点検へ進む判断フローです。

紙に落ちなくても花の奥や別の花に残る場合があり、粘着板の一匹だけで全鉢へ散布する必要もありません。症状と虫体を合わせて判断します。株全体の萎れや葉のえそ斑など食害だけでは説明しにくい症状では、アザミウマが媒介するINSVやTSWVも疑い、株を離して地域の相談窓口へ確認してください。

病害虫を広く見直したい場合は、親記事の花の病害虫対策完全ガイドで、害虫・病気・生理障害を切り分ける順番を確認できます。

薬剤を使うなら登録と作用機構を確認

殺虫剤は、農薬ラベルで対象植物、アザミウマ類、希釈倍率、時期、回数を確認し、ラベル外の濃度や方法では使いません。

浸透移行性殺虫剤は植物に吸収された成分が吸汁害虫へ作用しますが、接触型殺虫剤は虫体へ届く必要があります。花やつぼみの奥に隠れるため、適用部位と散布方法も確認します。

同じ商品を繰り返すと、生き残った個体が繁殖して薬剤抵抗性が選抜されます。ミカンキイロアザミウマでは少なくとも20有効成分・7化学クラスへの抵抗性が記録されています。商品名ではなく作用機構を見て、同じIRAC番号を連用せず、最新ラベルの範囲で異なる番号へ切り替えます。

強い薬の反復だけで終わるとは限りません。花がら処分、隔離、観察を続け、薬剤は組み合わせの一部にします。

予防は花がら・雑草・持ち込み株から

総合的病害虫管理は、観察、衛生、物理的捕獲、生物的防除、薬剤を組み合わせる考え方です。アザミウマは花、植物組織、土や落葉に発育段階が分かれるため、一手段へ依存しません。

咲き終わった花を残さず、雑草対策で鉢周りや花壇を整理します。新しい切り花は花と新芽を確認してから既存株の近くへ置きます。

飛来を減らす物理防除には、網目0.4〜0.8mm程度の防虫ネットや、光を反射するシルバーマルチがあります。マルチを花壇全体へ導入しにくければ、幼苗や守りたい鉢から試します。

青色または黄色の粘着板 (Amazon / Yahoo!)は飛ぶ成虫の増減を見る道具で、植物上の幼虫は数えられません。花を白い紙へたたく確認と併用し、捕獲がない日の油断や少数捕獲だけでの過剰散布を避けます。

天敵カブリダニは施設栽培の選択肢ですが、家庭の屋外鉢で必ず定着するとは限りません。温湿度、害虫密度、使用済み薬剤で結果が変わるため、まず花がら処分と監視を行い、天敵資材は適用条件を確認します。

3つだけ覚えるアザミウマ対策の判断基準

病害虫対策として覚える順番は、アザミウマの症状を疑う、虫を確認する、複数手段で減らして再点検する、の三つです。花びらの古い傷ではなく、次に開く花と未被害のつぼみを基準にしてください。

  1. 症状を疑う:花びらの白いかすれ、茶色いシミ、黒い点、開花不良があれば、花の内側まで見ます。
  2. 虫を確認する:白い紙の上で花を軽くたたき、必要なら20倍以上のルーペを使います。粘着板だけで不在を判断しません。
  3. 組み合わせて再点検する:発生鉢の隔離、花がらと雑草の処分、周辺鉢の確認を行い、被害が続く場合だけ登録薬剤をラベルどおりに使います。同じ作用機構を連用せず、新しい花で結果を確かめます。

出典

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花の日記 編集部

園芸学・植物学の資料、種苗メーカーや公的機関の栽培情報、農薬登録情報を突き合わせ、出典をたどれる形に再編集する花とガーデニングの編集チームです。編集方針を見る